臭さの単位、アラバスター(Au)って何?というのを結構真剣に調べた。
GIGAZINEで、世界中のくさくておいしい食品について、そのにおいを数値化して比較する、という記事が出ていた。
http://gigazine.net/news/20120126-tripadvisor-stinky/
*シュールストレーミング、ホンオフェ、キビヤックは漫画「もやしもん」でもみたなあ。
で、問題は、その数値化の単位。アラバスター単位、って書いてある。
なんだそりゃ?と思って調べてみたがちょっとググったぐらいではよくわからん。
というか、この記事やそのリンク先自体が有名な発酵学者の小泉武夫さんの本の孫引きのようだ。辛さと甘さの単位を調べたこともあり、ちょっと調べてみた。
どうやら、小泉さんがアラバスターという測定器を使って測定を行った、ということで、その測定器に表示される数値をアラバスター単位と呼んだようです。
で次はそのアラバスターという機械だ。これ一般的?世界的?と思ったらそうでもない
(後述)。
このアラバスターは”香り濃度測定装置”としてB&Hラボが販売、若林商店が開発した商品。
http://www009.upp.so-net.ne.jp/kirax/sensors.html
その若林商店の特許に、小泉さんも名を連ねている。メインは江原さんという方らしい。
http://www.patentjp.com/06/R/R101580/DA10002.html
で、どんなものかというと↓こんなのらしいです。SnO2を使った半導体センサがメイン。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003167434
ということは、ガスセンサとまったく同じ構造かな。
http://www.figaro.co.jp/tec2.html
ということは、この”測定値=においそのもの”というわけでもない。
ある種の化学物質の含有量を見ているということかな。
で他のにおいセンサも各社から出ているようだけれど、特に表示に”単位”というものがついてないようだ。
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さて別の特許から引用すると、日本でにおいを比較するのに最も一般的なのは三点比較式臭袋法ということらしいです。
”三点比較式臭袋法とは、無臭空気(空気を活性炭処理したもの、また、この活性炭処理を施す空気として、ひるがの高原の空気を標準空気として使用することが提案されている。)を充填した袋を三つ用意し、その内の一つに試料空気を混入する。このような三つ一組の袋に充填された空気を6人の回答者にそれぞれ嗅ぎ分けてもらい、どの袋が臭うかを当ててもらう。混入する試料空気の濃度を徐々に下げて、正解率が50%を割った時点の試料空気の濃度により、臭いの強さ(所謂、臭気濃度)を測定するのである。また、この三点比較式臭袋法では、全種類の臭いに対して同様に臭気濃度を求めることができることが知られている。”こういうことらしいです。
一方、半導体センサは
”ところが、試料空気に対する臭気センサの感応度と、上記三点比較式臭袋法によって求めた希釈倍率との間の対応関係は、臭いの種類や原因物質によって異なり、一対一の対応関係は得られない。すなわち、希釈しても余り臭いの変化しないものもあれば、大きく変化するものもあるのである。”
という問題もあると。なるほど、なので測定器を書かないとだめなんだろうな
http://www.patentjp.com/07/R/R103479/DA10001.html
しかし、こういうのは絶対にもっとちゃんと研究しているはずだ、と思ってさらに調べた。
においは英語でOdorなので英語の文献から見てみたが、結局日本の文献にorz
しかしこれが多分、一番詳しいレビュー。
http://www.orea.or.jp/en/PDF/Odor_Measurement_Review,.pdf
日本ではTriangle odor bag methodがあり、ヨーロッパでは Europian Odor Unit / OUE というのがあるそうですが、結局大差ない。
http://www.env.go.jp/en/air/odor/measure/02_3_6.pdf
結局、においの絶対評価はいまのところ人間判定で、機械は目安ということかなあ。
言いたいことはですね、こういう数値評価のデータは他にもよく報道されているけど、一体何で測定したか、とか単位は?精度は?というのはよく考えたいなあと。原発事故が起きて、各地で放射性の測定でいろいろデータ出てるけど、みんなそういうことをちゃんと見てほしい。。。
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