16歳の子がNewton以来300年解けなかった微分方程式を解いたという誤報がありましたが、結局何があったかというと、、、
結構大きく取り上げられた記事で、このブログでも取り上げたものですが、、、
大人げなく(?)その大学の先生たちが調べてみたら、そんな新しい話ではなかったということ。
で、結局そもそもRayくんが何をやったか、原論文がないので(私も含めて)適当なことを言っていたわけですが、その先生の4ページの報告を見た結果、だいたいわかりました。
まず解くべき式は、
u' = -u * √(u^2 + v^2)
v' = -v * √(u^2 + v^2) - g
でして、抵抗を受けながら落ちていく玉のようなもののモデル化。抵抗が単に速度に比例していないというのがポイント。
まずは√の中を”定数”のように思って積分すると、
[exp(∫√(u^2 + v^2) ds * u )]' = 0
[exp(∫√(u^2 + v^2) ds * v )]' = -g * exp(∫√(u^2 + v^2) ds)
なので、ここで
Ψ = ∫exp(∫√(u^2 + v^2) ds) dτ
とか置くと、
u = u0/ Ψ'
v = (v0 - g * Ψ) / Ψ'
と書ける。つまり、Ψが分かれば(u, v)が解析的に解けた、ということになるでしょう。
ここで、φ=(v0 - gΨ)/Ψ' = v/uと置く。
ぐだぐだと計算すると(v/uの形で計算したほうが簡単)
φ'' = g√( 1 + φ^2)
さてφ'を両辺にかけて、それを一回積分して、(この√の積分は誰でも一回はやったことのあるおなじみのものでしょう!)
φ' = (g*φ*√( 1 + φ^2) + g* arcsinh(φ) - c) ^1/2
とかいう形になる。
さらに積分して、
∫dx/(g*x*√( 1 + x^2) + g* arcsinh(x) - c) ^1/2 = t
です。こういう形はすでにParkerさんが1977年に出した!とのこと。
で、この積分範囲にφ(t)が入るわけですが、このままでは陽にかけない。
そこで、Dominiciさんが2003年に提出した方法、φをtのべき級数と思って展開し、
この積分を計算する方法を使ったそうです。φがわかれば、結局u,vもわかる(tのべきで)。
それをルンゲクッタと比べてあー、合った!というのがrayくんの話らしいです。
この方法以外にもベルヌーイ方程式に変形して解く方法もすでに大昔からあると、、、
Rayくんは同様に
z'' = -z ' - z^(3/2)
も計算したとのことですが、これも同じ…
先生たちは”日本人の教科書でこのような方程式が解かれていない、とか調べないで変なこと書くからRayくんがだまされたんだ”のようなことを書いています(一部、誇張あり)。
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