普通の電卓で弧長と弦長から半径・矢高・中心角を求める(高精度版)。
以前、カシオの高精度計算サイトkeisan.casio.jpに
”円の弧長,弦長,矢高,半径のどれか2つを与えて残りを計算”という自作式を作って置いておきました。リンクはこちら↓
で、案外この計算の需要が多いということがわかったのですが、その使ってもらった方のコメントで
”材木の伐倒のとき、どちらからどのくらい切れ込みを入れるかの指導に役だった”というのがあってびっくり。意外なところで使われたり、自分の知らない知識が得られるのはうれしいな。こんな感じですか?↓
http://www.nw-mori.or.jp/vgs2003/6jikanme/battousagyo06_02.html
で、需要が多いなら普通の電卓で精度よく求めるのはどうしたらいいかな?と再度考えてみる。(精度がいまいちなタイプのは前に書いたことがあるが、その高精度版)。
まず中心角をθ,半径をRとすると、
弧長 L = R*θ、弦長 c =2*R*sin(θ/2), 矢高(弧の高さ) h = R*(1-cos(θ/2))
となる。そこで弧長と弦長から他の量を出してみよう。
弧長Lは弦長cより長いのはいいとして、中心角が小さいときはLとcの差が小さくなり、大きい時は差が大きくなる。ということで、
1-c/L = εと置いて、このεで摂動展開することにすればいい。
LとcからRを消去すると
sin (θ/2) / (θ/2) = 1-ε
ここでq=(θ/2) ^2という量を定義すると、sinを級数展開して
q/6 - q^2 / 120 + q^3 /5040 + ... = ε
ここで、
q = c1*ε + c2*ε^2 +c3*ε^3 + ...と摂動展開できるとする。
これで地道に計算すると、
c1 = 1/6, c2 = 9/5, c3= 144/175, c4=213/1750, ...
となる(Maximaに手伝ってもらった。手計算に全く自信なし)。
ここまで来たら後は簡単。
普通の電卓でどうやって計算するかというと、、、
①ε = 1-c/Lを求める。どこかに書いておく。
②(144/175+ε*213/175)を計算し、この答えにεをかけて9/5を足し、出た答えにεをかけて6を足し、最後にεをかける。
③上で出た答えに√を取って(普通の電卓でもあるよね・・・)、それを二倍する。
④出た答えがはθ(中心角)のラジアン単位を表している。
°単位に直したいなら180かけてπ(3.14159265358978…(産医師、異国に向こう、産後厄無く・・・) この語呂合わせを参照。
⑤半径を求めるにはL/θ
⑥矢高は、、、これめんどくさいけどテイラー展開使うか、、、
h=R((θ/2)^2/2 - (θ/2)^4/4! + (θ/2)^6/6!+..)とか。
では例題やってみよう。
弧長80cm、弦長50cmとしておく。これはεがそんなに小さくない例。
実際にkeisan.casio.jpで計算した結果は、ニュートン・ラフソン法を使って
半径25.01/角度183.27°
前に計算した精度のいまいちな方法は、
半径26.66/角度171.89°
そして今回の方法では、
半径25.05/角度182.95°
と格段に精度上がった。もちろん、弧長1002、弦長1000のようなεが小さい例では
ニュートンラフソン:半径4576.4 今回の方法:4576.7
とさらに精度よく求まる。
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