« ファインマンさんのお皿のぐらぐらと回転の関係について。 | トップページ | 積分記号の中で微分する飛び道具の例その2(ご冗談でしょう、ファインマンさん)。 »

2013年6月20日 (木)

積分記号の中で微分するという道具(ご冗談でしょう、ファインマンさん)って? - Differentiation under the integral sign

さて、昨日は「ご冗談でしょう、ファインマンさん」に出てきた「お皿を投げた時の回転とぐらぐらの関係」について調べた人がいることを書いた。

https://sci.tea-nifty.com/blog/2013/06/post-b64c.html

そして今日はもう一つ気になる”積分記号の中で微分する”という話。

何はともあれこの2つを見てみましょう。

Differentiation under the integral sign (wikipedia)

Differentiation under the integral sign  (K.Conrad)

 

うわ、どれもよくこんなこと思いつくな、、、というものばかり。

いちばん簡単な例を見てみる。

∫sin(x)/x dx (積分範囲は0~∞)を求めたいとき、補助変数tを持ってきて

F(t) = ∫exp(-t*x) * sin(x) / x dxとしましょう。t=0で元の式になる。

さて、これをtで微分する。積分記号の中で!

 

F'(t) = -∫exp(-t*x) *sin(x) dx

 

と邪魔な1/xが消える。さて、この積分は簡単。なんでかというとsin(x) = (exp(ix) - exp(-ix))/(2*i)なので、全部expの積分でかける。

で計算すると、F'(t) =  - 1/(1+t^2)

とめちゃくちゃ簡単に。この積分はおなじみのやつですよね。t=tanθとおくと、

1/(1+t^2) = cosθ^2、dt = dθ/cosθ^2なので、、、F'(t)=∫dθ = θ+C

なので、

F(t) = -arctan(t) + C

そうすると、t→∞にもっていくと、左辺は0、arctanはπ/2なんで、0=-π/2+C

ということで結局!

∫exp(-t*x) * sin(x) / x dx = π/2 - arctan(t)

とわかる。t=0とすると

∫sin(x) / x dx = π/2がわかる!

まあ、普通は複素数の範囲に持っていって留数の計算をするけれど、、、

∫exp(iz)/z dzを考えて、z=0を避けるような積分路で、、、というおなじみのやつ。

例えば

http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Amath06/am_chap12.pdf

これをあくまで実関数の範囲だけでトリッキーに計算するというのが面白い。

--

他の”ご冗談でしょう、ファインマンさん”に出てきた話の記事はこちら:

10の100乗のタンジェント

eの累乗を暗算で。

--

« ファインマンさんのお皿のぐらぐらと回転の関係について。 | トップページ | 積分記号の中で微分する飛び道具の例その2(ご冗談でしょう、ファインマンさん)。 »

学問・資格」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ファインマンさんのお皿のぐらぐらと回転の関係について。 | トップページ | 積分記号の中で微分する飛び道具の例その2(ご冗談でしょう、ファインマンさん)。 »

最近の記事

最近のコメント

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
フォト
無料ブログはココログ