積分記号の中で微分するという道具(ご冗談でしょう、ファインマンさん)って? - Differentiation under the integral sign
さて、昨日は「ご冗談でしょう、ファインマンさん」に出てきた「お皿を投げた時の回転とぐらぐらの関係」について調べた人がいることを書いた。
https://sci.tea-nifty.com/blog/2013/06/post-b64c.html
そして今日はもう一つ気になる”積分記号の中で微分する”という話。
何はともあれこの2つを見てみましょう。
Differentiation under the integral sign (wikipedia)
Differentiation under the integral sign (K.Conrad)
うわ、どれもよくこんなこと思いつくな、、、というものばかり。
いちばん簡単な例を見てみる。
∫sin(x)/x dx (積分範囲は0~∞)を求めたいとき、補助変数tを持ってきて
F(t) = ∫exp(-t*x) * sin(x) / x dxとしましょう。t=0で元の式になる。
さて、これをtで微分する。積分記号の中で!
F'(t) = -∫exp(-t*x) *sin(x) dx
と邪魔な1/xが消える。さて、この積分は簡単。なんでかというとsin(x) = (exp(ix) - exp(-ix))/(2*i)なので、全部expの積分でかける。
で計算すると、F'(t) = - 1/(1+t^2)
とめちゃくちゃ簡単に。この積分はおなじみのやつですよね。t=tanθとおくと、
1/(1+t^2) = cosθ^2、dt = dθ/cosθ^2なので、、、F'(t)=∫dθ = θ+C
なので、
F(t) = -arctan(t) + C
そうすると、t→∞にもっていくと、左辺は0、arctanはπ/2なんで、0=-π/2+C
ということで結局!
∫exp(-t*x) * sin(x) / x dx = π/2 - arctan(t)
とわかる。t=0とすると
∫sin(x) / x dx = π/2がわかる!
まあ、普通は複素数の範囲に持っていって留数の計算をするけれど、、、
∫exp(iz)/z dzを考えて、z=0を避けるような積分路で、、、というおなじみのやつ。
例えば
http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Amath06/am_chap12.pdf
これをあくまで実関数の範囲だけでトリッキーに計算するというのが面白い。
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他の”ご冗談でしょう、ファインマンさん”に出てきた話の記事はこちら:
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