電子レンジであったまるもの、そうでないもの。
だいぶ前に、電子レンジの周波数2.45GHzは水分子の共振周波数でもなんでもない、ことを書いた。
電子レンジは、水分子の固有振動数(共振周波数)を利用しているのではないです。
水が極めて広い帯域で吸収スペクトルを持っていて、低周波側でもだらだらと残っているおまけのような損失を使ってるというイメージ。
分子どうこういうより、誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)というマクロな物理量を使うと実際の温度上昇とか、周波数でどう中まで入っていくかを計算できる。
逆に言うと、誘電率と誘電正接を持った物質なら温まる可能性があるわけで。だから水を特異的に狙っているので無線LANは恐ろしいとかそういうのないから。
例えば、電力半減深度という、ガリレオ(ドラマ)でも出てきた式が定性的にどんなもんかのイメージをするのにちょうどいい式じゃないかと。
私が高精度計算サイト keisan.casio.jpに作った自作式がこちら。
☆ここから、絶縁体とみなせることを暗に仮定します。良導体(金属)だと、マイクロ波で渦電流が流れて、で火花ばちばちになってあぶないのでやめよう。
水はだいたい比誘電率εr~80、誘電正接tanδ~0.1くらい@2.45GHz。
これだと電力半減深度Dが15mmくらいでまあ妥当な食品サイズで、吸収した電磁波の電力が半分になる。1000Wの電子レンジの半分っていうと結構な損失でよくあったまる。
☆実際には誘電率高いので表面での反射もばかになりませんが。。。ここでは簡単な扱いにします。
ではガラス容器は?というとそもそもガラスは比誘電率が小さくて(構造を思い出そう)、誘電正接も小さい。一般的なガラスは、εr~5くらいでtanδ~0.01以下。なので
電力半減深度は60cm、ほとんど素通りしちゃうのであったまらない。
陶器も一般的なものはガラスと大差ないので、あったまらない。
陶器を進めたファインセラミクスは誘電率も誘電正接もピンキリなので、まああったまって焼結するやつとかもあったり。
理科年表にデータでてるので、それを見て計算したらだいたいわかる。
http://www.uesu.phys.waseda.ac.jp/Japanese/lec/chapter1-1-renew.pdf
紙もεr低くてまあ誘電正接も結構低いのであたたまらない。
・・・とか言っていると誘電正接0.1くらいの身近な物質って水しかないので結局水しか温まらないという話になるんですな。
氷もεr=3くらいで、なんと誘電正接が0.001とか一気に損失すくなくなるので温まらないです。結晶化すると全く特性かわりますな。
氷っていってもいろいろあるけれど、、、
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FDTD法などによるもっとちゃんとした解析はこういうのがあります。
http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/journal-82/pdf/82-05.pdf
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