NHK 数学ミステリー白熱教室~ラングランズ・プログラムへの招待~ 11/20の第2回「数の世界に隠された美しさ ~数論の対称性~」を見た。
第一回目の速記メモはこちら:
では今回も速記メモで:
最初の3分くらいは第一回目と同じ、フレンケル先生の紹介と講義のあらすじ。
第二回では、数論に焦点を当てる。対称性が数や方程式に対する我々の認識を変えたことを示そう。ガロアの革新的発見も。
ではフレンケル先生が半袖の軽装で登場。やはりイケメン。
前回のおさらいをしよう。強調したのは複数の異なる分野が数学にあり、ジグソーパズルに数学の研究は似ているということ。
数論、調和解析、幾何学に焦点を当てる。
ロバートラングランズの写真を見せる。彼は50年前、別の数学者にあてた手紙でそのアイデアを書いた。
興味深い話は、彼は数か国語を流暢に操る。外国語で何冊も本を書いている。フランス語、ドイツ語、ロシア語、、、大学に入るまでは英語しか話せなかった。
フレンケルさんとはロシア語でやり取りしたいと言ってきた。で彼からロシア語の本で読んだリストを送ってきたが、フレンケルさんはそこまで読んでないかも、と恥ずかしくなった。
対称性については、前回ペットボトルやミカンで幾何学については学んだ。
今回は数論だ。
まずは数について、、、
整数とはどんな数?数えることで理解できる数。
0やマイナスの数などもある。
0の存在は神秘的で、その意味を理解するのに何千年もかかった。
私の電話番号は整数、生年月日も、ATMの暗証番号も、、、将来の技術革新で変わるかもしれないが。
分数という数もある。整数どおしの比を表している。
お金がそうだ。2.95ドルは2と95/100
古代は現実にあるのは有理数しかない、と思っていた。
しかしそれには無理がある。有理数ではない数に出会ってしまうからだ。
2辺が1の直角三角形の斜辺は?
1^2 + 1^2 = c^2
だからc^2=2.
ここでルートという記号を導入しよう。二乗すると2になる数、√2.
これが有理数で表せないことは簡単に証明できる。
こういうのを無理数といい、分数で扱うことのできない数。
さて、無理数と出会ったことで有理数の世界が崩れた。
数学ではすべてを受け入れた。逃げ出したり、そんなものは存在しないということなく、広い心で受け入れた。見知らぬ他人を受け入れるようなもの。
√2には親戚のような数がある。
2√2や3√2.
数を増やすことはよくやることだ。
√2/2とか。
これはまとめて表現できる。
p/q√2 (pとqは整数)
これですべて?そうではない。
m/nは有理数。
√2の親戚は分数で表せる?いやできない。
m/n=p/q√2と書くと
mq/np=√2となって
有理数で表されるので矛盾。
数を取り扱うときに重要なことは?演算だ。足し算、掛け算、割り算、引き算。
演算ができるかどうかが家族に入るかどうかということ。
有理数どおしの演算では有理数が出る。
重要なことは我々はこれが当然と思っている。
でも整数は違う。割り算では整数にならない場合がある。
足し算と掛け算では閉じているが、割り算では閉じていない。
有理数はすべての演算で閉じている。
無理数を含んで、どうしたら演算で閉じる新しい家族を作り出せる?
家族の形を数式で表すと、
a+b√2
となる。
でフレンケルさんが計算例を間違える(笑)。あ、もちろんすぐ訂正。
この新しい数の素晴らしいところが、
有理数に対するのと同じ演算ができるということ。
これを数体とよぶ。
√3などの別の無理数でもできる。
この新しい数の対称性とは???
(ピカチュウのTシャツを着た学生が映る)
a+b√2をa-b√2に変える。
この変換をしても体系は変化しない。演算で閉じている。
でまた6を36に書き間違える。今日は36が好きだなあ、黒板に間違った話を書くのは悪くない、誰が聞いているかわかるから。というフレンケルさん。
で2回変換すると元に戻る。
√2と-√2を考えよう。入れ替えても変化しない。
なぜ?
ピタゴラスの定理で嘘をついたことを謝る。
c^2=2のときc=√2といった。長さはプラスだから。でも-√2も答えだ。
同じ方程式を満たすので、蝶の2つの羽のような対称性を持つ。
x^2=2の答えは±√2だ。
2つとも同じ方程式から生まれた答えなんだ。
解の方程式を探すことと関係している。多項方程式や代数方程式と呼ばれている。
2次方程式は係数が整数の方程式なのに、答えは有理数じゃない。こうして体系が生まれた。
ここからガロア群と呼ばれる群のお話し。
フランスのエヴァリスト・ガロアは20歳で決闘で殺された。
死の前日に、数学の原稿を完成させていた。ある理論を急いで書き残したのだ。
もう時間がない、と原稿には書かれていた。
この20歳の男についてよく考える。明日殺されるとわかっていたのだろう。
ロウソクの明かりの下で、愛する人にではなく、自分の数学の発見を書いた。
同時代の数学者と共有したかった。
共有しなければなんの価値もないからだ。共有したときに初めて、愛のように価値が生まれる。一種のラブレターだと思う。我々全員にあてた、、、
数学の勉強が感動的であるのは、新発見をしたとき、新しい概念を生み出したとき、世界中の誰も知らないことを知ったとき、、、
ガロアが解決した問題とは?
ラジカル(累乗根)を使った解の公式の問題だ。バークレーでよく聞く過激という言葉じゃない(お、またジョークを挟んできた)。
そういやルートも別の意味をもっている。根っこという。
n√a
という累乗根の表し方をする。
累乗根だけで方程式の答えを書けるか?
x^2=2はもちろんかける。
2次方程式の解の公式は覚えているかな?
ax^2+bx+c=0
ちゃんとかけるかな、、、
x=(-b±√(b^2-4ac)/2a
累乗根だけが出てきている。
問題は2次より高い方程式に対してこれが作れるか?
3次方程式は?
ax^3+bx^2+cx+d=0
解の公式はある?あるとわかっている。ここから素晴らしい物語が始まる。
2次方程式の解はアル・フワーリズミの著作に示されていた。8世紀~9世紀の数学者。
1200年ほども前だ。
ソビエトでは切手が発行された。
本のタイトルに含まれる入れ替え、に関係するアルジャブルというアラビア語。ここから代数学の語源になった。
アルゴリズミと間違って発音された彼の名前もアルゴリズムの語源になった。
3次方程式が見つかるまでにはそこから700年。
ここで黒板には特殊な場合、x^3+px+q=0の解が示された。
これは累乗根を含んでいる。カルダーノの公式。
これは大スキャンダルだった。この公式はイタリアのデル・フェッロが発見した。当時の数学者は競争相手があるので発表しなかった。勝負で勝つためだ。相手にこれを解け、といって解けなかったら負け。
こういうのも案外いい方法かもしれない、と笑うフレンケルさん。
タルタリアも解の公式を得ていた。
タルタリアは秘密の公式をカルダーノに漏らした。話がうまいペテン師。誰にも言わないという約束で、、、
4年は約束を守ったが、デル・フェッロに見せてもらった。
タルタリアのは公表しないが、デル・フェッロのを公表すると、、、
アルス・マグナという本を書いた。代数の根本という副題。
タルタリアは激怒。残りの人生を私が発見したといってまわることに費やした。
そしてそのカルダーノの弟子、フェラーリ。
4次方程式の解の公式を発見した。
そしてそのフェラーリがタルタリアを破滅させる。カルダーノとの勝負を望んだが、弟子のフェラーリとタルタリアが勝負したのだ。
フェラーリの圧勝だった。タルタリアは職を失った。
では、、、
5次方程式に解の公式はあるのか?
6次以上でも、、、
しかし300年もの間解けなかった。最終的にガロアがそのような公式が存在しないと証明した。
たまたま4次までは存在した。ラッキーだった。
ではどのように証明した?
ガロアは真正面から解かずに、ハッキングした。
5次方程式 ax^5+...=0
解の公式を見つけようとしたのではなく、問題を読み替えた。
あなた方はやり方を間違っている。方程式の答えを探そうとしているがそうではなく問うべきことは
”方程式の解の対称性とは何か?”
ということだ。
解の対称性は解を知らなくてもわかる。
x^2=2の解、√2と-√2の二通りあるが、これを入れ替えても同じ。
ガロア群は2つの物体の入れ替えに等しい。
3次方程式は3つの物体の入れ替えの群、4次方程式は
4つの物体の入れ替えの群。
ガロアのひらめきは、方程式の解の公式を累乗根で書けるか?というのは方程式の群の構造を調べればわかる、というもの。
入れ替えの群がその特性を持つかに等しい。
2個、3個、4個の入れ替えには存在するが、5個以上では存在しない。
問題をハッキングしたことで300年間わからなかったことを明らかにした。
ところで、学校では数学の授業であの公式を覚えなさい、この公式を覚えなさいと言われる。方程式の解の公式もそんなものの一つ。学生はガロアの功績をありがたいと思うだろう。たくさんの公式を覚えなくていいから。
しかし数学とは公式と計算を覚えるだけではない。概念と考え方を学ぶものだ。
ガロア群がいい例になっている。
では最終的にはどのようにやったか?
5つの物体の入れ替えの群。
ちなみにn次方程式はn個の解を持つことはわかっている。何通り入れ替え方がある?
n個の場合はn(n-1)...2*1=n!
なので5個なら120通り。
2次、3次、4次はそれぞれ2、6、24通りで構造が単純で、可解と呼ばれる。
しかし5次では120通りではるかに複雑になり可解じゃなくなる。
入れ替えは数学では対称群とも呼ばれている。
質問が出た。
解の公式があるときとないときの違いを詳しく知りたい。
説明しよう。
可解である群とはどういうものか?
それは可換か非可換か、ということと関係している。
可換とは順番を入れ替えても結果は同じ、非可換は入れ替えたら変わる。
ペットボトルの回転は可換。球の場合は違う。軸が違うもので回転させると結果が異なる。
可解である群は可換群で構成される。
可解でない群は可換群では構成されない。
ここまでをまとめる。
前回は幾何学の対称性を、今回は数論での対称性を見た。
入れ替えの群だ。方程式の解の公式が存在するのかどうか。
次回は、ラングランズが数論の問題をどのようにして調和解析に結びつけたのかについて。
(ラングランズの新聞に載った写真を見る。ガロア理論と書かれている。)
そしてフェルマーの定理についてみてみる。
第三回はこちら。
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