文庫「ドリーム Hidden Figures NASAを支えた名もなき計算手たち」を読んだ。映画公開前に原作を読もうと。NASAよりNACAの飛行機研究を支えた多くの黒人女性たち、がもっと正確かな。
9/29から公開の映画「ドリーム」(マーキュリー計画なのにアポロとか邦題をつけてまた消したといういわくつきの邦題、、、Hidden Figuresでいいのに)を観る前に、原作を読んだ。実話を丁寧に文献を追って調査して書かれた力作です。
映画はNASAのマーキュリー計画が主な題材のようですが、実は原作はそこだけが主題ではない。
まだ黒人が差別されていた時代、計算手(コンピュータ)として多くの黒人女性がアメリカの航空産業などを支えていたということが今では忘れられている。これをみんなに知ってもらうために書かれたもの。
特に、NACA(NASAの前身)のラングレーで、航空機のための空気力学の数値計算や空洞実験のデータ解析を請け負っていた女性たちの物語だ。
※NACAの翼形状についてはScratchで私も計算したことがあったり。

数値計算だけだと思っていたら、データ解析も。昔は表計算すらなかったんだから人間がやるしかない(今ならExcelでもやるような処理)。
また、手計算をしてるの?と思ったら機械式の計算機を使っていたとのこと。
フリーデンやマーチャント、モンロー社製のものをつかっていたとか。
写真はフリーデンの計算機。
計算機室ではこれが奏でる音がドラムロールのようだったとか。
超音速で飛ぶ飛行機のための実験、計算のお話は面白かった。
くびれたウエスト理論とか。
そしてNASAに変わってからは、実質今でいうコンピュータ(IBM7090)が導入されていたため、彼女たちの仕事も変わっていった。もうFORTRANが動くようになっていたから。
マーキュリー計画の軌道計算の素になった論文はキャサリンが書いたこれ。
”
Determination of Azimuth Angle at Burnout for Placing a Satellite Over a Selected Earth Position |
22の主要な方程式、9つの誤差方程式、2種類の打ち上げのケーススタディからなる。
そしてクライマックスは、IBMのコンピュータで出した結果が信用できない宇宙飛行士のジョン・グレンがThe girl(キャサリン)に検証させてくれ、彼女がOK出せば俺も信用する、といったところ。そこでまた機械式の計算機で検証されて結果が合うことが確認されたということ。当時はまだコンピュータより計算手(英語だとコンピュータだが、、、)が信用されていた時代ということか。
映画はこの辺をメインにやるんでしょうね。楽しみだ(土曜に観に行きます)。
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