SパラメータとZパラメータ(インピーダンス行列)を変換するとき、[S]=([Z]+[I])^{-1} ([Z]-[I])=([Z]-[I])[Z]+[I])^{-1} と行列が交換できるのはなぜか?をやっと思い出す。([A]+[I])^{-1} ([A]-[I])= ([A]-[I]) ([A]+[I])^{-1}は一般になりたつ。
高周波回路で用いられるSパラメータをインピーダンス行列(Zパラメータ)から求めることはよくやられている。回路シミュレータの内部でもやっていたりする。
(Sパラメータについてはこちらなど参照。SはScatteringで元々は素粒子の散乱行列から電子回路に輸入されたもの)
で、いま、Sパラメータ(行列)を[S]、Zパラメータを[Z]、特性インピーダンス行列(対角行列)を[Zo], その√、および逆数を取ったものを[1/√Zo]とし、
規格化したZパラメータを[Z'] = [1/√Zo][Z][1/√Zo]とする。
そうすると、[b]=[S][a]から計算していくと、
[S]=([Z']+[I])^{-1} ([Z']-[I])
とも計算できるし、
[V]=[Z][I]から計算していくと
[S]=([Z']-[I])[Z']+[I])^{-1}
とも計算できる。この行列は可換だ。
なので、一般に行列の積、
([A]+[I])^{-1} ([A]-[I]) = ([A]-[I]) ([A]+[I])^{-1}
のはず。
これがなんで成り立つのか、昔は一瞬でわかったように記憶していたけれど
思い出せない、、、
※若者に聞かれて即答できなかった。情けなや。
(ちなみにZが対角化可能だとかの条件は一切使ってなくて一般の場合で交換した式が出てきているので、これは対角化できなかろうがなんでも一般になりたつ。。。対角化できる場合については”同時対角化可能⇔交換可能の意味と証明”を参照。)
ではどうするか?考えたらめっちゃ簡単で、
([A]+[I])と([A]-[I])が可換なことと、
([A]+[I]) ([A]+[I])^-{1} = [I]
ということを使う。
つまり、
([A]+[I])^{1} ([A]-[I])
=([A]+[I])^{1} ([A]-[I]) ([A]+[I]) ([A]+[I])^{1} ([I]を右からかけた)
=([A]+[I])^{1} ([A]+[I]) ([A]-[I]) ([A]+[I])^{1} (真ん中を交換した)
=([A]-[I]) ([A]+[I])^{1}
ということだけでした。SパラメータとYパラメータなども全く同じ。
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