スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識:⑤スマホ内部の有線通信はMIPIスタンダード⑥電源系は電源管理IC(PMIC)が使われるがDC/DCコンバータのスイッチング周波数って6.4MHzとか高くできる。
今回で三回目です。
③スマートフォンの内部でチップ間、センサ間の通信は何を使っている?
外部との無線は5GとかLTEとかWiFiとかいろいろですが、内部の有線(ボード内、B2B(ボード to ボード)の通信です。
もちろんI2CやSPI、GPIOといった普通の通信もあるのはありますが、MIPI Allianceという団体がスマートフォン用の
標準を作っています。
とはいえ全部が使われているわけではないです。有名どころはカメラとディスプレイの物理層のC-PHYとD-PHY、
そしてアンテナスイッチ、パワーアンプ、ローノイズアンプなどのフロントエンド部品(モジュール)を制御する
RFFE。後は電源系のSPMIとかは使われることも。完全にぽしゃった奴もある(一応伏せておく)。
RFFEですが、最初QualcommがMIPI allianceに参加しておらず独自の通信をやっていてMIPIではQualcomm以外の人が決めていたので
あんまり実効性なかったり。Qualcommが参加しても勝手に独自のMIPI RFFE拡張したりしてもうてんやわんやだったという。。。
(今でもQualcommは独自のものをつかってたりする)。
なので、あんまり大きな声では言えないが似たような話のOpenRF associationがQualcomm以外で連合したけど
おそらくぽしゃるだろう。
⑥スマートフォンの部品への電源供給は電源管理IC (PMIC)が使われる。
写真はiPhone 12 Pro Maxより。
https://www.ifixit.com/Teardown/iPhone+12+Pro+Max+Teardown/138640
ものすごい数のインダクタとキャパシタに囲まれているのがPMIC。(ピーミックと呼ぶ人もいる。私はピーエムアイシーと呼ぶ)。
AppleはDialog semiconductorから買い取ったPMICを使うのでリンゴマークが描いてある。
QualcommはQualcommのチップセット専用のPMICを持っている。
とんでもない数のLDO (Low Drop Out) とDC/DCコンバータ(英語ではSMPS=Switch Mode Power Supplyと言った方が通じる)
が集積されている。Qualcommのは
なのとか。そこにも書いてありますがスイッチング周波数は6.4MHzとか高くできたりする。
これまでの記事:
第一回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ①アンテナスイッチとアンテナスワップスイッチとアンテナチューニングスイッチとアンテナアパーチャスイッチの違いは? ②デュプレクサとダイプレクサの違いは?
第二回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ③アプリケーションプロセッサとモデムとトランシーバーの違いは?④いつからバランスタイプのSAWフィルタが使われなくなった?
第三回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識:⑤スマホ内部の有線通信はMIPIスタンダード⑥電源系は電源管理IC(PMIC)が使われるがDC/DCコンバータのスイッチング周波数って6.4MHzとか高くできる。
第四回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識:⑦スマホRFのフロンドエンドモジュール(FEM)のブロック図はどうなってる?⑧5G ミリ波の場合は?
第五回:
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