スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ③アプリケーションプロセッサとモデムとトランシーバーの違いは?④いつからバランスタイプのSAWフィルタが使われなくなった?
前回の続き。
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ①アンテナスイッチとアンテナスワップスイッチとアンテナチューニングスイッチとアンテナアパーチャスイッチの違いは? ②デュプレクサとダイプレクサの違いは?
③アプリケーションプロセッサとモデムとトランシーバーの違いは?
これはQualcommの資料を見てみよう。
https://archive.eetasia.com/www.eetasia.com/ART_8800720310_499488_NT_47856e40.HTM
モデム(Modem、ベースバンドプロセッサともいう)は、スマートフォンの無線通信(LTE,5Gなど)のベースバンドの処理(つまりデジタル変調とか)に使われる。
一方トランシーバーはそれをRFにアップコンバートorダウンコンバートしてRF領域まで持っていくもの。。。だがこれではパワーも小さいし、バンドごとに混線したりする状態。
そのためにフロントエンドモジュール(RFFEといったりFEMといったりいろいろ)がその先について
・バンド切り替えスイッチ
・バンドのフィルタリング(バンド分離、あるいはバンド内のTx/Rx分離)
・送信用のパワーアンプ(PA)
・受信用のローノイズアンプ(LNA)
ここにさらにアンテナが絡むと前回のようにアンテナスワップやアンテナチューニングが入る。
で、アプリケーションプロセッサがパソコンでいうCPUやGPUを含んだものですが、歴史的にアプリケーションプロセッサ(AP)と呼ぶ。
カメラの処理なども含む。
例えばQualcommのSnapdragon 888+はこんな感じ。
これはモデムもAPに内蔵されている。Qualcommはモデム内蔵タイプと外付けタイプの2種類あったり。
外付けのやつはこんなの。
④いつからバランスタイプのSAWフィルタが使われなくなった?
一昔前の携帯電話のシステムの受信側はバランスタイプの線路を使っていることが多かった。
上の絵で受信のほうからは2本ずつでてるのが分かると思う。
これはノイズに強いから、ということですが、バンドがどんどん増えて行ってもうスペースが、、、
ということであるとき突然、シングルエンド(アンバランスド)品が主流になった。
ノイズは?ということですが、ここから受信側のフロントエンドには必ずローノイズアンプ(LNA)が入るようになった。
例えばSkyworksのもの。
これまでの記事:
第一回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ①アンテナスイッチとアンテナスワップスイッチとアンテナチューニングスイッチとアンテナアパーチャスイッチの違いは? ②デュプレクサとダイプレクサの違いは?
第二回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識: ③アプリケーションプロセッサとモデムとトランシーバーの違いは?④いつからバランスタイプのSAWフィルタが使われなくなった?
第三回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識:⑤スマホ内部の有線通信はMIPIスタンダード⑥電源系は電源管理IC(PMIC)が使われるがDC/DCコンバータのスイッチング周波数って6.4MHzとか高くできる。
第四回:
スマホRF駆け出しエンジニアの豆知識:⑦スマホRFのフロンドエンドモジュール(FEM)のブロック図はどうなってる?⑧5G ミリ波の場合は?
第五回:
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