クスノキの番人(東野圭吾さん)を読んだ。家庭に恵まれず罪を犯して逮捕された玲斗が初めて会う伯母に助けられる。ただし願いが叶うというクスノキの番人になることを命じられ…家族の絆、痴呆症が描かれ、またミステリ要素もある(注意深く読んでいれば最後にわかるかも)よかった。
これはミステリ系ではなくてナミヤ雑貨店の奇蹟のような感動系(あんまりいい言葉じゃないですが)で、しみじみよかったです。
あらすじは「不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して(ここに出てくるものがデンソーの品質管理系技術者だった東野さんらしい)逮捕された玲斗。そこへ弁護士が現れ、依頼人に従うなら釈放すると提案があった。心当たりはないが話に乗り、依頼人の待つ場所へ向かうと伯母だという女性が待っていて玲斗に命令する。あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です、と。そのクスノキは昼間はパワースポットになっていたが、夜に祈念する人にはクスノキに願えば願いが叶うという。一体クスノキとは…」というもの。
最初は読者も玲斗もクスノキが何なのか全然わからず、玲斗もあまり感情移入できないタイプだったのが、クスノキが何なのか知られるたび、玲斗が成長していってどんどん魅力的になってくる。そこに祈念に現れる人々のいろいろな思いが交錯してとてもしみじみするいいお話。
家族の絆や、痴呆症についても考えさせられる。
最後の最後には、ああ、確かに、というミステリ的な要素もある。ナミヤ雑貨店の奇蹟が良かった人にはお勧めです。
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