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2023年11月23日 (木)

パンサー尾形さんのNHK笑わない数学 フェルマーの最終定理の速記メモ。触れられてなかったがラマヌジャンがxⁿ +yⁿ =zⁿ±1を生み出す式を出していたこと、ソフィ・ジェルマンのコミック天球のハルモニア、そしてScratchでy²+y = x³-x²(mod p)を計算する式を作ったことを思い出す。

パンサー尾形さん登場。今日のテーマはフェルマーの最終定理。

17世紀フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが残した、数学史上最大のミステリーとも呼ばれる難問。

なぜミステリーと呼ばれたのか?実はフェルマーは「自ら証明した」と書き残しているんですが

どこを探してもその証明が見つからなかった。その後、数々の数学者がフェルマーの最終定理に挑んでは破れ、結局、

350年たってようやく証明にたどりついたという代物なんです。

でもこの難問、問題自身を理解するのは意外と簡単。まずはこれを見て。

x²+y²=z²

ここで皆さんに質問です。この式を満たす、x,y,zの組は存在するか(x,y,zは自然数)?

え?それなら中学で習ったって?

x=3,y=4,z=5ならばこの式は満たされますよね。ほかにもこの式を満たすx,y,zの組はたくさんあるんです。

じゃあここで二乗じゃなくて三乗だったらどうでしょう?

x³+y³=z³

この式を満たすx,y,zの組はあるでしょうか?

ちょっとやってみましょう。カモン!

尾形さんがいろいろな数を代入して試す。x=1,y=1はない。x=3,y=4もない。x=6,y=8もない?z³=728はできるんじゃないか?

z=9は729...

惜しい!

(あ!これラマヌジャンが見つけた式に出てくる!x³+y³=z³±1になる。)

https://plus.maths.org/content/ramanujan

Page_small

でもだめだ。

3乗だとないかもしれない…

はい、そろそろ皆さんも分かってきたんじゃないですか?フェルマーはこういったんです。

x +y =z

n=3以上の場合、この式を満たす自然数x,y,zは存在しない。

つまりnが3でも4で100でも1000でも絶対にない。フェルマーのこの主張、証明しろという問題が、

フェルマーの最終定理

なんです。

フランス・パリから500㎞ほど離れた港町、ボーモン・ド・ロマーニュ、1607年フェルマーはここで生まれた。

同じ時代を生きた科学者と言えば、ケプラー、ガリレオガリレイ、ニュートン。

ヨーロッパを中心に近代的な科学が発展した時代だった。

フェルマーは確率論や幾何学など、当時、最先端の研究を行い数学界をリードする存在だった。

そんなフェルマー、30歳のころ、こんなメモを手元にあった本の余白に書き込みます。

「2乗よりも大きいべきのかずを同じべきの2つの数の和で表すことは不可能である。」

これを現代風にいうと、

x +y =z

n=3以上の場合、この式を満たす自然数x,y,zは存在しない。

ところがフェルマーは続けてこんなことを書き足した。

私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。

フェルマーは証明を書き残さないままこの世を去った。

これはその後、350年にもわたって数学者を悩ませ続けることになるフェルマーの最終定理の誕生でした。

※n=4の場合だけフェルマーが証明と注がでた。

パンサー尾形さん再登場。

ちょっとフェルマーさん、そりゃないっすよ!余白が足りないなら別の紙に書けばいいじゃないですか!無責任ですよ!

まあとにかくフェルマーの最終定理が本当に正しいかどうか?

大きな謎が残された。

その謎を解こうとその後、たくさんの数学者が挑む。

まず成果を上げたのはこの番組の常連、レオンハルト・オイラーです。

天才オイラーならこの問題を解決できると期待してしまう。オイラーはやりました。

n=3のときだけだが…

でもこれは十分すごいことだった。とにかく、あのオイラーでもn=3しか解決できなかったということは

この問題が無茶苦茶難しい、ってことがわかってもらえるんじゃないでしょうか?

思い出してください。

フェルマーの最終定理を証明するためにはn=10, 10000,1億のときもあらゆるnのときに正しいと証明しなくてはなりません。

しらみつぶしに当たって行ったら、永遠に終わらない。

そんなとき、一つ一つではなく、ある程度まとめて解決しようとする数学者が登場した。ソフィ・ジェルマン。

当時非常に珍しい女性数学者でした。

(天球のハルモニアのモデルとしても有名ですね)

Img_2def807621097270460142a3641742017764

 

1776年、パリ。ジェルマンは裕福な家庭に生まれました。幼いころから大の数学好き。

しかし当時のフランスでは女性が数学を学ぶことは社会的に受け入れられていなかった。両親は反対したが押し切って独学で数学を勉強した。

ジェルマンが18歳のとき、理系のエリート校、理工科学校が設立された。

しかし入学を許されるのは男性だけ。そこで、ジェルマンはムッシュ ル・ブランを名乗って生徒として潜り込み、数学を学んだ。

ジェルマンの才能はあのガウスも認めるところとなる。

男性と偽りつつ、ガウスに手紙を送って意見交換を始めた。

そして1804年、ジェルマンはフェルマーの最終定理に迫る、一つの成果にたどり着く。ガウスへの手紙でジェルマンは

「有名なフェルマー方程式を証明することに成功したと考えています。私はこの論考を先生の判断にゆだねたいと思います。」

と書いた。

ジェルマンがとった戦略は斬新なものだった。

nに入る数字を一つ一つ確かめていくのではなくて、たくさんのnの場合を同時に証明する方法を思いついた。

そのたくさんのnとは、

素数で、2倍して1を足したものがまた素数になるもの。

例えば素数5なら11でこれは素数。

11も23で素数。

素数のうち2倍して1を足したものがまた素数になるものは、ある一定の条件のもとでフェルマーの定理が条件付きで成り立つことを証明した。

(※nがx,y.zの約数でないという条件)

しかし女性であることを理由に、論文として発表することは認められなかった。

ガウスにジェルマンは30歳のとき、女性であることを打ち明けた。手紙には女性数学者としての生きづらさが書かれていた。

私は女性だというだけで受ける差別を恐れ、名前を偽って先生に手紙を送っていました。

私が女性だと知った後も、どうか変わらぬ交流を続けていただければと願っています、と。

ガウスは返信した。

女性が数学の道を歩むことは男性よりはるかに障害が多いと想像します。

それを乗り越え、数学という難解な世界に足を踏み入れているあなたは

崇高な勇気と優れた才能を持っているに違いありません。

ガウスはジェルマンに自分が所属するゲッチンゲン大学の名誉学位を授けようとしたが、その直前55歳でジェルマンはこの世を去った。

パンサー尾形さん再登場。

女性だからというだけで正当に評価されなかったジェルマン。でもそんな逆境にもめげず偉業を成し遂げたジェルマンは

本当にかっこいいと思います。

ジェルマン以降もある程度の進展は見られた(エルンスト・クンマーが紹介されるが扱いが軽い…)

しかし20世紀に入ってもまだまだ無限に多くのnが残されたままほとんど進まなくなります。

あまりの難しさに多くの数学者はフェルマーの最終定理を完全に証明することは不可能だ、あきらめようと考えるようになった。

はい、これでフェルマーの最終定理の話はおしまいです。。。

普通ならそうです。

実はフェルマーの最終定理とは全然関係ないところで行われていた一つの研究がその後、誰も予想しなかった突破口を開くことになるんです。

その研究、取り組んでいたのは二人の若き日本人でした。

1950年代、戦後の焼け野原から数学を始めた志村五郎、谷山豊。

2人の研究テーマはものすごく変わっていた。

y²+y = x³-x²

こんな感じの方程式の問題と、

こんな感じの不思議な絵が、

Escher_circle_limit_iii

(エッシャーのこれです:

https://en.wikipedia.org/wiki/Circle_Limit_III

繋がっているんじゃないかという研究です。

まずは

y²+y = x³-x²

から説明する。この式を満たすx,yの組は何個あるか?(x,yは0以上の整数)

ただし、この問題を解くためのルールは普通とは少し違います。

いわば、時計を使って解きなさい、ということ。

時計は0,1,2と進んでいくと、また0,1,2に戻る。

12時間の時計は数字は0から11までしかない。

この世界で足し算をしてみると、9時+4時は13時ですが、この世界では1時。

つまり

9+4=1

というわけ。

同じように3時間の時計があったら?この世界では数字は0,1,2しかない。

1+2=0になり、2+2+2=0になる。

先ほどの問題を3時間の時計と使って解くと?

  x=0 x=1 x=2
y=0 ×
y=1 × × ×
y=2 ×

 

 

 

この式を満たすx,yの組は4個ということになる。

そこでこんな表を作る。

時計の時間 2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41
解の個数 4 4 4 9 10 9 19 19 24 29 24 34 49

この表の何が面白い?

(実はScratchでこれを計算するものを作っていた!

Scratch0001

Scratch(プログラム言語)でy^2+y=x^3-x^2の素数pを法とする解の個数を計算(NHK数学ミステリー白熱教室見て)

 

方程式の問題と不思議な絵がつながっているんじゃないか?という研究をしていたといった。

不思議な絵を描いたのはだまし絵で有名なオランダの画家、エッシャー。

色とりどりの魚がびっしりと敷き詰められていますが、円の外側に行くにつれて魚が小さくなり、どこまでも続いているように見える。

実はこうしたこの絵の特徴、

f=q∏(1-q )²(1-q¹¹)²  (n=1~∞)

この式とそっくりだという。実際、f(q²)の絶対値を描いてみるとよく似ている。

これがさっきの方程式の問題とどうつながっているのか?

 

f=q∏(1-q )²(1-q¹¹)²=q-2q²-q³+2q⁴+・・・・

となるが、志村と谷山はこんな表を作った。方の数字が2になっている部分を探し出し、-2q²なので前の数字は-2

これを引き算する。2-(-2)=4。これを素数で繰り返すとこうなる。

肩の数字 2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41

肩の数字

-前の数字

4 4 4 9 10 9 19 19 24 29 24 34 49

さっきの時計を使って作った表と全く同じになった。

志村と谷山が気が付いたこと。それはざっくり言えば様々な方程式の問題とエッシャーの絵に関係する数式にひょっとしたら深いつながりがあるんじゃないか?

ということだった。

とにかく2人の日本人が、フェルマーの最終定理と全然関係ないところで

「志村-谷山予想」と呼ばれる問題を世に送り出した。

それはすべての楕円曲線はモジュラーである、というもの。

パンサー尾形さん再登場。

この話本当に不思議な話だ。この発見を何かに例えるなら、ピラミッドから発見された壁画が、なぜかシベリアの永久凍土の地下からも発見されたような驚き。

でもあまりにも不思議なので欧米の数学者たちは半信半疑だった。

そして残念ながら志村と谷山は証明することはできなかった。未解決のまま残されていた。

ところが1986年、また意外なことが発見された。

志村と谷山はフェルマーの最終定理とは全然関係ないところで研究していた。

ところがそれがフェルマーの最終定理と直に結びつくことが発見された。

証明されないまま残っていた志村・谷山予想。それがフェルマーの最終定理と直接結びつくことを見出したのは

アメリカのケン・リベット博士。ドイツのゲルハルト・フライ博士とともに見つけた。

この瞬間、志村谷山予想が正しいと証明できればフェルマーの最終定理が証明できることとなった。

ケン・リベット博士のインタビュー。

「それはとんでもないアイデアでした。数学者は誰もがインパクトのある成果を残したいと願って研究していますが、まさに私の死後も人々が忘れられないような発見をすることができたのです。」

そしてイギリス人数学者のアンドリュー・ワイルズ博士が「志村-谷山予想」の証明に乗り出します。

幼いころからフェルマーの最終定理を解くことを夢見ていた数学者です。

しかしどこから手を付ければいいかわからないほどの超難問だった。ワイルズ博士はその時のことをこう述べている。

「それは暗闇の中で手探りで部屋の様子を確かめるようなものだった。半年ほどたつと伝統のスイッチが見つかり明るくなるとようやく部屋の様子がわかります。そうなったらまた次の真っ暗な部屋に移ってさらに半年を手探りで過ごす、その繰り返しでした」

(サイモン・シンさんの本より)

そして1995年、ついにワイルズはテイラーとともに証明を完成させた。

フェルマーの最終定理の証明には「志村‐谷山予想」の一部を証明すれば十分でしたが、それでも論文は130ページに上った。

フェルマーの最終定理の誕生からおよそ350年、数学史上最大のミステリーは解決したのです。

パンサー尾形さん再登場。

こんなにも長い間多くの数学者を悩ませた難問は他にはなかなかない。

でも元はと言えばフェルマーが無責任が文章を残したからこんな面倒なことになった。

僕はそんな気がしてなりません。フェルマー自身は本当に証明方法を見つけていたのか?

今となっては誰にも分らない。

そうそう、僕もね、皆さんは絶対に笑わせられる一発ギャグを思いついたんですけど、それを披露する時間が足りない…

OKです。

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