Pythonでマイクロストリップパッチアンテナの設計ツールを作る(1) まずはC.A.BalanisのAntenna Theory: Analysis and Designを基に、基板の比誘電率、厚み、共振周波数を与えてパッチ幅とパッチ長さを計算
フィルタ合成の話はだいたい終わったので、今回からアンテナの話に入る。
簡単なのはホーンアンテナかパッチアンテナかパラボラアンテナだが、まずはパッチアンテナをやってみよう。
まずはサイズの決定をして、そのあと入力インピーダンス、指向性、効率などを計算していく。
実はカシオの高精度計算サイトにもう作っていたもの↓のPython版。
マイクロストリップパッチアンテナの設計(効率・アンテナ利得)
使う式はConstantine A. BalanisのAntenna Theory - Analysis and Design (2nd edition)から持ってくる。
これは実はとても古くて今は4th editionが出ている。
では基板の比誘電率、厚み、共振周波数を与えてパッチ幅とパッチ長さを計算するPythonプログラムはこちら。
# 矩形マイクロストリップパッチアンテナの幅、長さの決定
import numpy as np
def patch_design(er, h, f0):
"""
矩形マイクロストリップパッチアンテナの幅W、長さLを基板の比誘電率er, 厚みh[mm],共振周波数f0[GHz]
を与えて計算する。
戻り値: W, L
"""
u0=4.0 * np.pi * 1.E-7
e0=8.85418782E-12
W = (1.0 / (2 * f0 * 1.0E9 * np.sqrt(e0 * u0))) * np.sqrt(2.0 / (er + 1.0)) * 1.0E3
#有効比誘電率ereff
ereff = (er + 1.0) / 2.0 + ((er - 1.0) / 2.0) / np.sqrt(1.0 + 12.0 * h / W)
#フリンジングΔL
dL = h * 0.412 * (ereff + 0.3) * (W / h + 0.264) / ((ereff - 0.258) * (W / h + 0.8))
wave_length = (1.0E3 /(f0 * 1.0E9 * np.sqrt(ereff * e0 * u0)))
L = wave_length / 2 - 2 * dL
return W, L
|
使い方はBalanisの例題に乗っていたものを使うと
W, L = patch_design(2.2, 1.588, 10)
とすると、
print(W, L)
で
11.85033740616217 9.053429316199928
と出る。次回はSciPyの積分を使った入力インピーダンスの予定。
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