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2026年7月24日 (金)

高周波で使われるSパラメータのTouchstoneフォーマット、2024年1月にv2.0からv2.1にバージョンアップしていたのを全く知らなかった。どこが変わったかをMicrosoft 365 Copilot Chatに聞く。拡張子が.ts推奨、SパラメータはPower Wave定義など仕様の明確化がメイン。

ずっと前にダウンロードしたものを使いまわしていたので、バージョンがあがっているのを知らなかった…

2.0と何が違うかについて2つのpdfをMicrosoft 365 Copilot Chatに読んでもらって解説してもらった。

以下回答。

結論から言うと、Touchstone 2.1 は 2.0 に対する大きなフォーマット拡張というより、仕様の明確化・訂正・互換性説明の追加が中心です。2.1 文書自身も「[Version] の文字列引数 2.1 を除けば、[Version] 2.1 ファイルは [Version] 2.0 ファイルと同一」と明記しています。

変更点の要約

1. [Version] の許容値に 2.1 が追加

Version 2.0 では [Version] キーワードの有効な引数は "2.0" のみでした。
Version 2.1 では [Version] の引数として "2.1" または "2.0" が許容され、さらに 2.0 と 2.1 の構文・規則は同一なので、どちらを使っても差はないと説明されています。



2. Version 1.1 という「内部指定」が追加・説明された

Version 2.0 文書では、旧来のオプションライン構文を使うファイルは Version 1.0 と扱う説明が中心でした。
Version 2.1 では、Version 1.0 に加えて Version 1.1 が内部指定として導入され、ポートごとに独立した参照抵抗をオプションラインで指定できる旧式構文として説明されています。 

Version 1.1 の例として、2 ポートでポート 1 が 0.1 Ω、ポート 2 が 75 Ω の場合、R の後に複数の抵抗値を並べる形式が示されています。

ただし、Version 2.0/2.1 ファイルでは、ポートごとの参照抵抗はオプションラインではなく [Reference] キーワードで指定する、と整理されています。


3. ファイル拡張子ルールが明確化された

Version 2.0 では、従来の .sNp 形式に加えて、Version 2.0 ファイルには .ts が推奨される、という説明でした。
Version 2.1 では、.tsすべての Touchstone バージョンに対して推奨される拡張子として説明され、互換性のため他の拡張子も許容される、と整理されています。 


4. [End] キーワードの扱いがより明確化された

Version 2.0 では [End] は Touchstone 2.0 ファイルの終端を定義し、[End] 後の非コメント文字列はエラー扱いすべきと説明されています。
Version 2.1 ではこれに加えて、[End] は Version 2.0/2.1 ファイルで必須であり、ファイル内の最後のキーワードでなければならない、と明記されています。

実務上は、2.1 準拠としては末尾に必ず以下を入れるべき、という扱いになります。

 


5. S パラメータの定義が明確化された

Version 2.1 では、Touchstone ファイルは incident/reflected wave に power wave 定義を使うことが明記され、ポートごとの参照抵抗 Ri を含む式が追加されています。

具体的には、Version 2.1 では以下のような定義が説明されています。

ai = (Vi + Ri Ii) / (2√Ri)
bi = (Vi - Ri Ii) / (2√Ri)

また、Version 1.0 ではすべての参照抵抗が等しいため平方根係数が相殺される一方、Version 2.0/2.1 ではポートごとの参照抵抗が異なる場合に S パラメータがその影響を受ける、という説明が追加されています。 


6. 数値表記の許容範囲が明確化された

Version 2.0 でも科学記法は許容され、数値精度に最小・最大制限はないとされています。
Version 2.1 では、ネットワークデータの周波数点とデータ値について、整数、浮動小数点、科学記法が使えること、また浮動小数点では小数点前の単一のゼロを付けても省略してもよいことが明記されています。

同様の明確化はノイズデータにも追加され、Version 2.0/2.1 の [Network Data] と同様に、ノイズデータと周波数点も整数・浮動小数点・科学記法を使え、小数点前の単一のゼロは有無どちらでもよいとされています。 


7. ノイズパラメータの説明が補強された

Version 2.0 では、ノイズパラメータは 2 ポートネットワークにのみ含められ、各行は周波数、最小雑音指数、最小雑音指数を与えるソース反射係数の大きさと位相、実効雑音抵抗の 5 要素で構成されると説明されています。
Version 2.1 では、x5実効雑音抵抗、単位はオームと明記され、Version 1.1 の場合はポート 1 のオプションライン抵抗で正規化されること、また すべてのノイズパラメータはポート 1 をソースと仮定することが追加されています。


8. 例の修正・整理が多数入った

Version 2.1 は、例の修正・明確化が多く含まれています。たとえば 4 ポート S パラメータの例では、Version 2.0 では「Version 1.0 構文では表せない」と説明されていましたが、Version 2.1 では「Version 1.0 構文では表せないが Version 1.1 構文では表せる」と説明が更新されています。

また、Version 2.1 の導入部では、2.1 の作成目的として「いくつかの例の訂正、Touchstone ファイル拡張子の明確化、ネットワークデータ参照抵抗のより柔軟な定義を許可すること」が挙げられています。 


9. References と TSIRD Appendix が追加された

Version 2.0 では mixed-mode 変換の付録末尾に参考文献が置かれていました。
Version 2.1 では独立した REFERENCES 章が追加され、Ferrero/Pirola、Bockelman/Eisenstadt、Gonzalez、Haus らの文献が整理されています。

さらに Version 2.1 には Appendix B: TSIRDS Supported in this Release が追加され、Touchstone 2.1 に含まれる TSIRD として、S パラメータ定義の明確化、[End] キーワード修正、オプションラインでのポート別参照抵抗、ファイル拡張子ルールの明確化が列挙されています。


実装・運用上のインパクト

既存の Touchstone 2.0 パーサへの影響

基本的には、既存の 2.0 パーサは大きな変更なしで 2.1 を扱える可能性が高いです。理由は、2.1 文書が [Version] の値以外は 2.0 と同一と明記しているためです。

ただし、2.1 対応としては少なくとも以下を確認した方がよいです。

  • [Version] 2.1 を受け付ける。
  • [End] を必須・最終キーワードとして検証する。
  • Version 1.1 形式のオプションライン、つまり R 後にポート数分の参照抵抗が並ぶ旧式ファイルを扱うかどうかを決める。
  • S パラメータ変換時に、ポートごとの参照抵抗が異なる場合の power wave 定義を意識する。
  • ノイズパラメータの x5 の単位・正規化の違いをバージョン別に扱う。

ひとことで言うと

Touchstone 2.1 は、2.0 の構文をほぼ維持しつつ、Version 1.1 の扱い、ポート別参照抵抗、S パラメータ定義、[End] 必須化、ファイル拡張子、ノイズデータ、例・参考文献を明確化した改訂版です。特にフォーマット互換性の観点では、[Version] 2.1 を許容し、[End] と参照抵抗まわりの解釈を厳密にするのが実装上の主な対応点です。

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