書籍・雑誌

2024年12月11日 (水)

捜査線上の夕映え(有栖川有栖さんの火村シリーズ)を読んだ。コロナ禍で最中で起きた殺人事件。容疑者も少なくすぐに解決すると思われたが、意外なジョーカーが…ジョーカーの正体には驚いた。また表紙にもなっている場所が本当に良さそうなところで旅行したくなった。

久しぶりの火村シリーズを楽しみに読んだ。

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あらすじは

大阪のマンションの一室で、元ホストの死体が
スーツケースに押し込められた状態で発見された。
凶器や被疑者はすぐに見つかり、
難なく解決するかに思われた事件は、
鉄壁のアリバイと捜査を攪乱する
“ジョーカー”によって不可能犯罪と化す。

というもの。これはトリックどうこうというより、解説にも書かれていますが動機、登場人物たちの関係性や、ある島への旅行が印象的で、あとがきでも有栖川さんがその旅行について語られている。

しかしジョーカーの正体がこれとは…しかも犯人との関係性があれとは…

これはしみじみ読んで旅に行きたくなるお話でした。

2024年12月 3日 (火)

日経サイエンス2025年1月号の特集 和算再発見の佐藤賢一さんの記事「算聖 関孝和の実像」に出てきた矢高に対する円弧の2乗の近似式をカシオの高精度計算サイトkeisan.casio.jpの自作式として作った。ものすごい精度であることがよくわかる。

日経サイエンス2025年1月号の特集は和算再発見だった。

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その中の佐藤賢一さんの記事「算聖 関孝和の実像」に出てきた円弧の2乗の矢高に対する近似式、

関・建部の研幾算法での方法
F(x)=(-9/40+6131089x/120+752638x²/45+340127x³/30-5966x⁴/3+699904x⁵/45)/113^2
関の括要算法での方法
H(x)=(5107600x-23835413x²+43470240x³-37997429x⁴+15047062x⁵-1501025x⁶-281290x⁷)
/(1276900*(1-x)⁵)
が正確な値
cos⁻¹(1-2x)²

と比べてあまりにもすごいのでカシオの高精度計算サイトkeisan.casio.jpに自作式として作ってみた。

リンクはこちら。

 関孝和と建部賢弘の和算での矢高と弦長から弧長を求める精度

こんな感じの画面になります。

Wasan03

Wasan01

Wasan02

やっぱり関孝和はすごいわ。

Interface2025年1月号はMATLABで1ニューロンから手作り 数学&図解でディープ・ラーニング。初歩からAlexNetの転移学習、CNNまで話題が豊富で、なんとMatlab Onlineの半年ライセンスがついてくる。Simulinkや各種toolboxも使える。早速MATLAB入門オンラインコース修了した。

今月のInterfaceはMATLABで1ニューロンから手作り 数学&図解でディープ・ラーニング。

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Simulinkを使って本当に1ニューロンからモデル化してとても分かりやすい。

Matlabintroduction02

そこからAlexNetの転移学習や、CNNの実装、バックプロパゲーション、ADAM、また数学の基礎まで内容が豊富。しかしPythonで私もディープラーニングやっているけどMATLABのほうがはるかに簡単に記述できるな。

そして何と、2025年5月までのMATLAB Onlineのライセンスがついてくる!それ以外にも

・MATLAB Online ・Simulink
・Deep Learning Toolbox
・Statistics and Machine Learning Toolbox
・Image Processing Toolbox
・Computer Vision Toolbox
・Symbolic Math Toolbox

が使える。しかしMATLABは大昔使ったっきりで完全に忘れているのでオンラインコース受けてみた。

MATLAB入門のコース修了証。

Matlabintroduction01

Simulink入門の修了したのだが、うまくコース修了証が表示されない…

ディープラーニング以外にもいろいろ遊んでみよう。

知らなかったのだが、MATLAB Onlineはライセンスなしでも無償で月20時間使えるそうだし。

また付録はディープ・ラーニングの始まりと現代社会での活用、だったがこれも読みごたえがある。エミー・ネーターまで記載されていたのは驚いた。

2024年11月26日 (火)

数理科学 2024年12月号 使う数学,使える数学「数学は役に立つのか?」へのヒントを買った。課税があると富の集中が緩和される話、ジャイロイド格子、Mackay-Terrones構造、血液の流れをNavier-Stokes方程式で解析、天気予報のデータ同化など知らなかったことがたくさん。

面白そうな特集なので買ってきました。

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内容と一言コメント。知らないことが多かった。勉強になる。

・使いつくしたい数学 小谷元子

 「コンタクト」、素数を送っていたのか…完全に忘れていた。

・数理モデルで見る世界の分断 西浦廉政

 課税があると富の集中が緩和される話始めて知った。

・線形代数 ~ 変換を計算する数学とその応用 ~ 新井仁之

 特異値分解で次元圧縮する話は線形代数の教科書でも最近は取り上げられているらしい。

・物理と数学 ~ 代数学と物理学の関係 ~ 川村嘉春

 リー群、学生時代勉強したのに今ではほぼ忘れている…

・化学・材料と数学 ~ 物質構造の数学 ~ 内藤久資

 ジャイロイド格子、Mackay-Terrones構造は初めて知った。

・医療と数学 ~ 血液の流れを調べるための数学 ~ 水藤 寛

 血液の流れがNavier-Stokes方程式、血管の曲がりがフレネー‐セレの式で表されるとは!

・天気予報と数学 ~ 現象を記述し予測する数理科学 ~ 三好建正

 データ同化、誤差の統計数理のようなことをやっているとは知らなかった。

・統計と数学 ~ 積分幾何学と確率場の幾何 ~ 栗木 哲

 確率場の幾何も初めて聞いた。


・AIと数学 ~ 深層学習と幾何学の交わり ~ 福水健次
 幾何学的深層学習も初めて知った。

2024年11月25日 (月)

マン・カインド(藤井太洋さん)を読んだ。衝撃的に面白い!公正戦、光学迷彩を持つ他脚ローダー、曲射弾、人体通信、CRISPR/Cas9、様々なアルゴリズム・数学などが興味を引き、全く予測できないストーリー(マン・カインドの意味が…)もう10年後には起こっても不思議ではないな…

藤井太洋さんはジーン・マッパーを読んであまりの面白さにずっと作品を追っていて、最近だとワン・モア・ヌークが一番かなと思っていた。

しかし順位が入れ替わったかも。このマン・カインドめちゃくちゃ面白かった。

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あらすじは「2045年、国際独立市テラ・アマソナスの指導者チェリー・イグナシオが、軍事企業〈グッドフェローズ〉の捕虜を銃殺する。この虐殺をレポートしようとした迫田城兵は事実確認プラットフォームにより配信を拒否されてしまう。果たして人類に何が起こっているのか 」というもの。

なぜ配信を拒否されたのか、からは想像できない展開。身体能力に優れ赤外線が見える兵士、数学の能力がとてつもないベンチャーと一体どう結びつくのか、全く飽きさせない。この前、シビル・ウォーを観てきたばかりなので、フェイクニュースでアメリカが内戦に入っていたのもリアル。そこから双方が約束を守る公正戦ができたのも。

でてくるテクノロジーも光学迷彩を持つ他脚ローダー<マスチフ>、曲射弾<ステア・ビュレット>、CRISPR/Cas9、様々なアルゴリズム(遺伝的アルゴリズム、ピアソン重合法、潜ディリクレ分布割り当てなどなど)・数学(指を折って指数・対数計算できたり)などが興味を引く。

これ以上はネタバレになるので一切書かない(知っていたら衝撃を受けない)ですが、マン・カインドの意味がそういう…

とにかく面白いのでお勧め。

第53回星雲賞日本長編部門受賞も納得。

2024年11月14日 (木)

トランジスタ技術2024年12月号の特集はChatGPT電子回路。期待していたのは電子回路設計だったがそれはまだいまいち。でも2000円台で買えるエッジAI向けNPU搭載マイコンやラズパイでローカルLLMを動かしたりAPIをたたいたりと面白そう。久々にマイコンボード触りたくなった。

ChatGPT電子回路、ということで電子回路設計にChatGPTを応用するのかな?と思って買ってきた。

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ログペリアンテナ、RLCフィルタ、紫外線殺菌灯の設計の取り組みもあったが、まああんまりうまくいってない。まあそういうのはほぼ学習してないだろうから…(SPICEのネットリストくらいならやってくれるというのは以前確かめた。またやってみるか。)

しかし2000円台で秋月電子で買える

Milk-V Duo 256M

がNPUまで搭載したエッジAIに向くマイコンで、中国メーカーすごいなと思ったり。YOLOv5を動かす事例が紹介されていた。

またラズパイ5にローカルLLMのLLaVAを実装していてこれは自分でも試したい。

https://llava-vl.github.io/

またRaspberry Pi Pico WやPSoC6でChatGPTのAPIたたいたりとこれもすぐにでも応用できそう。

久々に日本橋行くかな。

あとその特集ではないが、cm級GPS測位の物理学の記事で、地球の重力場を表すのに球面調和関数を数千次まで使うというのを知って驚く…っ大変だ…

2024年11月11日 (月)

「学習物理学入門」を買った。NNの基礎、微分方程式、量子力学の波動関数、トランスフォーマー、拡散モデル・経路積分など多彩な話題がコンパクトにまとめられていて面白い。AIボットに質問もできて、早速NNで微分方程式を解くPythonコードを答えてもらった。

話題になっていたので、これは私も読んでみようと買ってきた。これは参考になる。

20241109-171110

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内容は:

A 機械学習と物理学
A1. 線形モデル
A2. ニューラルネットワーク(NN)
A3. 対称性と機械学習:畳み込み・同変 NN
A4. 古典力学と機械学習: NN と微分方程式
A5. 量子力学と機械学習: NN 波動関数
B 機械学習模型と物理学
B1. トランスフォーマー
B2. 拡散モデルと経路積分
B3. 機械学習の仕組み: 統計力学的アプローチ
B4. 大規模言語モデルと科学

と非常に多彩な話題がコンパクトにまとめられている。

拡散モデルに近いことは物理として学生時代にやっていたし、波動関数もいろいろ計算できそう。

その中でも一番興味があるのは微分方程式の話。そこでAIボット(学習物理学入門解説bot)も作られていた(!すごい)ので聞いてみた。

Bot

ちょっと手直ししたらそれっぽいものが動いた。なるほど。

この手のはNeural ODEというキーワードで調べると色々出てきてPyTorchの場合はtorchdiffeq、Tensorflow Probabilityなどもライブラリとしてつかえそう。ちょっといろいろ遊んでみたい。

2024年10月30日 (水)

Interface 2024年12月号を買ってきた。特集はPythonで動かして学ぶ線形代数。センサ校正、姿勢推定(クォータニオン)、LLM、主成分分析、線形判別分析、独立成分分析、畳み込み、GIS、ジオメトリ、符号化処理、圧縮符号化など盛りだくさんでPythonも線形代数も学べる。

特集が面白そうなので買ってきました。

”Pythonで動かして学ぶ線形代数”

20241025-162311

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とにかく思っていた以上に話題が盛りだくさんで面白かった。

内容は

・重回帰分析を使った磁気センサ校正

 ゲイン・オフセット補正を重回帰分析で行う。これは私もよくやっていた。


・慣性センサで姿勢推定実験

 クォータニオンの解説と、実際にそれを使った実験をされています。


・Pythonで作って学ぶLLM(大規模言語モデル)

 Transformerを使ったLLMを一つ一つPythonで実装されてます。今、私もやってる最中。

・データの特徴抽出

 主成分分析(PCA)、線形判別分析(LDA)、独立成分分析(ICA)、非負値行列因子分解(NMF)など重要な手法が解説されてます。

・畳み込み演算

 画像のエッジ処理、畳み込みニューラルネットワークなどが紹介されています。


・地理情報システム(GIS)

 これは全然知らなかった分野で面白かった。ヘルマート変換を初めて知った。

・ジオメトリ処理

 3DCG作成について解説されています。

・2次元レーダにおける符号化処理

 これは私も昔関わっていた分野なので興味深い。符号化レーダについて解説されています。

・動画圧縮符号化

 世の中にある符号化の基礎について説明されています。アフィン変換、直交変換など。

 

とにかく線形代数、大事、ということがよくわかる特集でした。

2024年10月15日 (火)

Pythonでマイクロストリップパッチアンテナの設計ツールを作る(1) まずはC.A.BalanisのAntenna Theory: Analysis and Designを基に、基板の比誘電率、厚み、共振周波数を与えてパッチ幅とパッチ長さを計算

フィルタ合成の話はだいたい終わったので、今回からアンテナの話に入る。

簡単なのはホーンアンテナかパッチアンテナかパラボラアンテナだが、まずはパッチアンテナをやってみよう。

まずはサイズの決定をして、そのあと入力インピーダンス、指向性、効率などを計算していく。

実はカシオの高精度計算サイトにもう作っていたもの↓のPython版。

 マイクロストリップパッチアンテナの設計(効率・アンテナ利得)

Msa01

使う式はConstantine A. BalanisAntenna Theory - Analysis and Design (2nd edition)から持ってくる。

20241014-182748   

これは実はとても古くて今は4th editionが出ている。

https://amzn.to/4f4bLzi

では基板の比誘電率、厚み、共振周波数を与えてパッチ幅とパッチ長さを計算するPythonプログラムはこちら。


# 矩形マイクロストリップパッチアンテナの幅、長さの決定
import numpy as np

def patch_design(er, h, f0):
    """
    矩形マイクロストリップパッチアンテナの幅W、長さLを基板の比誘電率er, 厚みh[mm],共振周波数f0[GHz]
    を与えて計算する。
    戻り値: W, L
    """
    u0=4.0 * np.pi * 1.E-7
    e0=8.85418782E-12
    W = (1.0 / (2 * f0 * 1.0E9 * np.sqrt(e0 * u0))) * np.sqrt(2.0 / (er + 1.0)) * 1.0E3
   
    #有効比誘電率ereff
    ereff = (er + 1.0) / 2.0 + ((er - 1.0) / 2.0) / np.sqrt(1.0 + 12.0 * h / W)

    #フリンジングΔL
    dL = h * 0.412 * (ereff + 0.3) * (W / h + 0.264) / ((ereff - 0.258) * (W / h + 0.8))

    wave_length = (1.0E3 /(f0 * 1.0E9 * np.sqrt(ereff * e0 * u0)))
   
    L = wave_length / 2 - 2 * dL

    return W, L

使い方はBalanisの例題に乗っていたものを使うと

W, L = patch_design(2.2, 1.588, 10)

とすると、

print(W, L)

11.85033740616217 9.053429316199928

と出る。次回はSciPyの積分を使った入力インピーダンスの予定。

2024年10月 4日 (金)

方舟(夕木春央さん)を読んだ。衝撃的…「え?」と声を上げそうになった。方舟という名の地下施設に閉じ込められた10人。誰か1人を犠牲にしないとみんな助からない…という状況で殺人が起き、犯人をその1人にするため推理するが…これは本当にネタバレ厳禁なやつ。

帯に書かれたこの有栖川有栖さん(解説も)の”この衝撃は一生もの。”というのは本当だった。

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あらすじは

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

というもの。私は閉所恐怖症なのでものすごく読んでて苦しい…

探偵役が論理を駆使して犯人を暴き出す、ように見えたが…もうこれ以上はネタバレになるので書きません。

有栖川有栖さんの解説がわかりやすく(絶対に解説から読んではだめ。そういう読み方する人がいるのは信じられないが…)、確かに真相がわかってから読み返すと意味が全然変わってくる。

とにかくこれは今一番読むべきミステリ。

ある意味シリーズ化できる気がする。

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